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Pauca sed matura (ysttの日記) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-10-19

研究とお金の話

| 22:11 | 研究とお金の話 - Pauca sed matura (ysttの日記) を含むブックマーク はてなブックマーク - 研究とお金の話 - Pauca sed matura (ysttの日記) 研究とお金の話 - Pauca sed matura (ysttの日記) のブックマークコメント

テクノロジーを成功させるためには、広報よりもまず現実を優先すべきである。なぜなら自然を欺くことはできないからである。


―リチャード・ファンマン 『スペースシャトルチャレンジャー号」事故 少数派調査報告』


すでに各所で報じられていますが、概算要求見直しのあおりを受けて、科研費2種目(若手(S)と新学術領域研究)の公募停止と最先端研究支援の500億円減額(前回の減額とあわせて1200億円減額)が決まりました。

平成22年度科学研究費補助金の新規募集課題の公募停止について:文部科学省

平成22年度科学研究費補助金の新規募集課題の公募停止について-日本学術振興会

補正予算:最先端研究支援、1200億円減額される - 毎日jp(毎日新聞)

支給対象が少なくかつ高額ということでこの2つが見直しの対象になったのだと思いますが、特に科研費の方は締め切り間近だったこともあって、いろいろと影響を受けている人もいるんじゃないでしょうか。

今回の決定の是非をここであれこれ論じるつもりはないのですが、個人的には最先端研究支援のような大型の研究予算の運用については一度いろいろと見直す必要があるのでは、と思います。というのも、こういった大型予算は運用の段階になると、後述のように様々な問題が出てくることが多く、場合によっては予算獲得が自己目的化しているような例もあるためです。


「研究費」と一口にいっても実際には様々な形態のものがあるのですが、数千万円を超えるような大型予算を国から引っ張ってこようと思った場合、一般的に次のような手順を経る必要があります(あるそうです)。

  1. 政治力のある科学者が「この研究が必要です」と役所に陳情に行く
  2. それをもとに、役人が勉強して、資料をつくる(場合によっては研究者がつくる)
  3. 財務省に説明する
  4. 財務省がオッケーと言ったら予算化され、プロジェクトが実施できる

今日の朝日新聞朝刊の中村桂子さんの「私の視点」について

さて、このプロセスのどこに問題があるかというと、上記サイトでは「中立な専門家俯瞰的に判断するフェイズが存在しない」という点に問題があると指摘されています。公正な判断が下せる人間がいないとなると、政治的な力関係だけで物事が決まってしまいかねません。加えて、「日本においては予算を取ってくる段階ではそこそこにきちんとした検討を行っていると思うのだが、それを執行する段階以降については検討が非常に甘い」とも指摘されています。言い換えると、コストとアカウンタビリティの意識に低いということでしょうか。まあこういった問題点は研究に限った話ではなく、国のやる仕事全般に言えることかもしれませんが。

凄腕(?)の研究者になると、縦割り行政の隙間をうまく行き来していろんなところからお金を取ってくるらしいのですが、本来はこうした科学技術関連の行政は一元化した方が効率邸に運用できるのは明らかでしょう。ですが、再就職先を失いたくない役人や、それを見抜いた上で予算を獲得しようとする研究者など、関係者の利害が複雑に絡み合っていて、一元化はなかなか難しいようです。民主党は将来的に科学技術行政の一元化を目指しているようですが、はてさてうまくいくのでしょうか。

民主党:科学技術のフロントランナーを目指して(民主党科学技術政策)


研究者が(時にはその政治力を発揮して)予算を獲得するというのは非常に重要な仕事です。しかし予算獲得自体が自己目的化して、適切な運用に欠けてしまうようなことがあってはなりません。いうまでもないことですが、予算獲得はあくまで研究のための手段であって目的ではないのです。


参考

タンパク3000プロジェクトとB29の絨毯爆撃 - 日々是好日

「最先端研究助成」よりましな2700億円の使い方があるのでは  追記有り - 日々是好日

「最先端研究開発支援プログラム」あれこれと民主党への注文 - 日々是好日


2chの与太話

270 名前:Nanashi_et_al.[] 投稿日:2009/10/18(日) 10:58:20

研究者も自分さえよければいいという連中ばかりだからね。

アカデミックの世界全体の発展なんか全く頭にない。

以前、ある大御所のラボにいたんだが、科研の他にもJSTから

CRESTの研究費をもらってたり、NEDOからも金をもらっていた。

それで、年度末になっても数千万円残額があった。

どうみてもこんな金を使いきれるわけなく、研究の最終年度

だったので、教授に金を返還しましょうかと相談したら、

金が余ってるなんてラボ外では絶対に口外するなと、顔を

真っ赤にして怒鳴り付けられた。

それで、何としてでも金を使いきれと言われたので、学生や

秘書の分も含めてパソコンを全部買い換えたりした。

それでも大分余っていたから、日保ちする試薬を買いまくって

なんとか全額消化したよ。

おかげで、夏まではラボ前のの廊下に試薬が山積みになって

いた。

後でわかったんだけど、実は周りのラボでも同じようなことをやっていた。

地方の国立大は、光熱費すら払えないくらい、かつかつの

とこもあるみたいだが、帝大では金が余って余ってしょうが

ないというラボがかなり沢山あると思う。


学振・科研費総合スレ part 34


/.jの与太話

Re:科学(←にもコスト感覚をね) (スコア:1, 参考になる)

Anonymous Coward : Saturday October 17, @02:47PM (#1655661)

私のいる学内共同利用の施設では、ここ数年来、全く稼働していない

大型装置がゴロゴロしています。これらは、エライ教授の先生たちの持ち物で

何千万円もするはずですが、大して使いもしなかったようで、妙に、新し

かったりします。エライ先生は、存在すら忘れ去っているので、維持管理

もされてません。そして、装置の周囲には、まるで、夜逃げでもしたかの

ように、かつてのポスドクたちが作った作りかけのサンプルや怪しい薬品が

何年も前から散らかっていて、誰も手をつけられません。

もう使わないのなら、廃棄するなり、使いたい人に譲渡して有効利用して

もらえばいいのに、それでも、エライ先生たちは、この装置は使うんです

使う予定なんです、動かすことは一切まかりならん!といって、施設を

自分の倉庫代わりにしています。最近も、また大型の予算をとってきて

別の場所で同じようなことをしているようです。

まさに口先三寸、予算獲得と場所取りと成果を出したふりをするのだけは

上手ですが、税金を有効利用しようという姿勢は、まるで感じませんね。


来年度科研費、二種目の新規募集課題の公募を停止 - スラッシュドット・ジャパン