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ボスがちょうどヨーロッパに出張していたため帰国後の現在も出勤を禁じられております。
僕の来月の中国出張も延期(九月以降)になりましたし、来週末開催予定だった結構大き目の国際学会も九月に延期になりました。おそらく皆さんも様々な影響を受けていることと思います。
ところで、そういう学会やセミナーの延期、中止も関係者参加者ともに大変なのですが、もっと研究に直結するところで深刻な影響を受けている学生が身近にいます。
僕が今非常勤研究員をしているところでは、言語関係以外に、地域研究や国際政治、文化人類学といった領域に関係する研究をしている学生が多く所属しています。その研究の核として現地調査というのが大きなウェイトを占めているのですよね。
おそらくそういった現地でしか得られないデータが無ければ個別論文や学位論文が成り立たない、という学生もそこそこいると思います。延期すれば大丈夫(かもしれない)、といってもそれだけで学生にとっては負担ですし、博士論文だと審査に時間がかかるのでタイミングが合わなければ予想以上に在学期間が延びるかもしれません。実際、すでに現地調査を延期せざるをえなくなった学生が(僕の知っている限りで)一名います。運よく研究に関する国がまだ発生国になっていない学生もいますが、やっぱり北米・欧州関係の学生は多いです。
いや、だからどうしたとかこうすればよいのでは、というような話はできないのですが(うちは小さい組織なのでそういう出張の取り消し、延期などの事務処理だけでもかなり負担が増えています)、今のところ仕方が無いとはいえきついっすよねえ…早く沈静化してくれるといいのですけれど。
※書いた後読み返してみたら全然ラフじゃなかったorz
専門は?と聞かれると、最近は「日本語学と理論言語学です。」と答えることが多いです。
前者は研究対象、後者は方法論に関するカテゴライズですね。
ただ、日本語といっても僕は現代日本語の文法(だけ)が専門ですし、理論言語学といっても生成文法という理論(だけ)が専門です。
現代日本語の文法といってもピンと来ないかもしれないので、僕がこれまで興味を持ったテーマをいくつか紹介してみます。
現代日本語では限られた環境で「に」と「から」が(意味をほとんど変えずに)交替できるように見えます。
この「先生」を「辞書」が最初にあった場所ということで「起点」と言います。
「に」は色んな働きをしますが、物の到着点もあらわすことができます。
この場合、もちろん「から」は使えません。
また、「起点」だったらいつでも「に」が使えるかというとそうでもありません。
この場合の「東京に」は「荷物」の到着点しか表せません。
では、
というのが、卒論での主なテーマでした。
絡みで心理動詞と言われるものについても分析したのですが、ややこしいので割愛。
という表現がなぜ可能なのか、という問題でした。
これは今でも単なる誤用である、とする専門家も多いと思いますが、
僕の立場はこれは現代日本語の文法のシステムが許容する表現である、というものです。
問題は(これが問題だとすると)、
「~が~を売る」という動詞だと上の例のような形で「売られている状態にある」ということを表せるのに、他の動詞、例えば「~が~を壊す」という動詞だと同じようなことができない、ということです。
修士論文では色々やりました。例えば、
日本語には他動詞を自動詞にする「ある(正確にはar)」という要素がありますが、
なんで「見つける」を「見つかる」にしても「を(目的語?)」があっていいんだろう、という問題(=「見つかる」は他動詞?自動詞?)。
ここまで紹介したテーマは、何も僕が最初にやったというわけではなく、それぞれきちんと先行研究もあるテーマです。文法研究のテーマは、現代日本語に限っても、他にもホントにたくさんあります。もちろん、人気があるもの無いもの、決着がある程度付いているもの、ほとんど手つかずのもの様々です。
少し細かいことを書き過ぎました。反省。上のような具体的なテーマを解決することで、現代日本語での助詞の機能の棲み分けとか、日本語の自他動詞の対応が複雑な理由とかを解明(もちろん少しずつ)するっつーのが直接の目的です。
で、他の研究者がやってる他の地域や時代の日本語の研究と付き合わせることによって、日本語の歴史的な変化や変異の分布の研究が進んだり、あるいは他の言語と付き合わせることによって、人の言語間で同じ所や異なるところがより広く深くわかるようになると良いなーという希望がそのさらに先にある感じ((どう応用できるのかはまた別の話。)。
実は、生成文法を本格的に専門にし出したのは修士論文以降の研究です。修士論文でも一応生成文法の枠組みを使ってはいますが、どちらかというと借り物な感じです。
というわけで、修士論文の後、研究テーマをかなり変えました(良い子はまねしてはいけません)。
博士論文の研究テーマは現代日本語の活用です。そう言うと、現代日本語文法の研究者からはだいたい「現代日本語の活用ってそれだけで博士論文書けるほどやることあったっけ?」という顔をされ、生成文法の研究者からは「生成文法で活用ってどうやるのよ」という顔をされることが多いです(これまでの経験では)。まあだからこそオリジナルな研究なわけですが。
理論(生成文法)の方については「形態論」という言語学の研究分野について話をしようと思っていたのですが、意外と長くなったのでこの辺りで切ることにします。
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